ブックタイトルSEN酵素技術概要

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概要

SEN酵素技術概要

牛糞堆肥が炭素率の面で堆肥として適さない理由は、オガコに起因する。肥育牛や繁殖牛の場合は含水はさほど高くないが、敷料に問題があった。その殆どがオガコだからである。木質の混じった堆肥は農業生産現場では一般的に嫌われる傾向にある。木質起因のセルロースやリグニンが農地に対してマイナス要因になる懸念が高かったためであると同時に、高い炭素率によって如何に窒素を豊富に使用しても、作物にとっては窒素飢餓を起こしやすい土壌になっている。但しその問題はセン酵素を敷料に混合する事で、敷料の交換が殆ど不要になったため、そこで排泄される牛糞は敷料として長時間分解能の中に置かれ、敷料とともに完熟化一歩手前まで牛舎で成熟されて行く事で殆ど解決された。しかも堆肥化とは換言すれば炭化である。真っ黒になった堆肥は充分に炭化した堆肥であると言う事ができる。それによって炭化した木質はその害を失っているのであるから、セン酵素は和牛などの肥育や繁殖分野では充分にその機能を果たしている。然るに搾乳牛の世界ではどのようにセン酵素を活用すべきかに迷いがあった。乳房炎などを懸念して殆ど敷料が用いられなかったからである。だから炭素率が400近いオガコを水分調整材として使用する事にも目を瞑らざるを得なかったのである。乾燥鶏糞を水分調整材として使用する事は、炭素率を決して上げる事のない牛糞堆肥の完成を見出させてくれた。鶏糞の高い窒素分は低窒素の牛糞を補い、菌群活性を最大限に引き出し見事なまでの完熟化を急速に成し遂げてくれる。発酵熱は最大限に発揮され、牛糞に混合していた外来種雑草種を死滅させるに充分な発酵熱が得られるであろう。またセルロースやリグニンの問題も完全な堆肥化(炭化)によって克服し、当然木質起因によるモンパ病を恐れていた果樹農家にとっても朗報であろう。木質を一切含まず、しかも高い窒素によって分解能を完全に発揮した完熟堆肥は、逆説的であるが出来上がり段階においては窒素含有量1%以下に抑えられるから、硝酸態窒素土壌の改善にも非常に有効な堆肥となる。(【全体像2-農業生産】を参照)以上のように、今回のあぶくま農場における成功は、養鶏家と酪農家のコラボレーションの明確な道筋を示すものであった。また肉牛や豚に関しては前述したようにセン酵素の敷料混合によって、殆ど畜糞そのものの排出を不要にしているので、そこからは農業生産に必要なゼム堆肥が得られなくなりつつある分、その点においては少々問題があるが、